フルメタル・パニック! サイドアームズ(2)

 
 
本編が結構な展開を迎えているので、サイドアームズは1巻で完結かと思ってましたよ。
アンドレイ・カリーニン少佐とリチャード・マデューカス中佐が語る中編。カリーニンとソウスケ、マデューカスとテレサの奇妙なつながりはよくできているというよりむしろご都合主義に近いものがある。文体も堅物の二人が過去語りをしているようにみせるために起こった出来事を淡々と書き連ねているだけで「物語」というよりむしろ「報告書」に近いものがあり、話として面白いかといわれると、それほどでもない。
しかしそれを補って余りあるこのワクワク感!鬼のように膨大な設定に裏打ちされたパラレルワールドアーム・スレイブの誕生からトゥアハー・デ・ダナンの開発までの我々の知っている歴史とは異なる歴史が次々と明らかになっていくのが楽しくてたまらない。これは80年代のロボットアニメ全盛の時代に少年期を過ごしたものなら誰でも共有できる感覚ではないのか。この本はそんな感覚を思い出させてくれる。
残る1編は完全に短編のノリ。これも今となっては懐かしいものが。