機動戦士ガンダムUC(10)

 
ラプラスの箱』を巡るラプラス戦争がついに終結。箱の中身は最初はあっけにとられるものの、次第に納得できる内容に変わっていくのが面白い。地球連邦政府スペースノイドを弾圧し、ジオン公国の独立を人類の半数の命を犠牲にしてでも阻止し、ニュータイプの存在をかたくなに認めようとしない納得のいく理由がそこにはある。この書のタイトルに『可能性の獣』の名を冠していることも。後付けの設定にしてはなかなか。
結局、この騒動では何も変わらないことは「閃光のハサウェイ」「F91」「Vガンダム」などが証明してしまっているのだが、それでも変わらないと思考停止してしまうのではなく、それぞれが変わろうと努力することによってやがて世界をも動かす大きな力になっていくというメッセージをこの10冊から受け取った。これはこれで間違いなくもう一つの「ガンダム」。ガンダムは30年たってようやく富野由悠季氏の手から巣立てるのかもしれない。

さあ、次はアニメだ。