見捨てられる日本市場

ちょっと古い記事で申し訳ないのだが、

世界を席巻していた日本のゲーム産業に異変が起きている。欧米のゲームメーカーの台頭が著しい一方で、日本のゲームソフトは売れない状況になっている。3年前からゲーム市場の世界シェアも急激に低下している。現在は推定で20%程に落ち込んでいるという。

日本のゲーム産業は巻き返せるのか 世界シェア20%落ち込みの衝撃 : J-CASTニュース

この記事について、「日本のゲームメーカーが生き残るにはどうすればいいんだ!」と騒ぐのはどうかと思う。
日本のゲームメーカーは今まで主に日本国内を対象に商売をしていた。だから海外ではイマイチ振るわないし、逆に海外で1000万本売れるゲームでも日本ではせいぜい20万本がいいところ。いやむしろ海外をほとんど意識しないのに20%もシェア取っているのはすごいんじゃないか?
しかし問題はここからだ。日本の市場はどんどん縮小していて、これからもそれが止まる見込みは全くない。加えてタイトル1本あたりの制作費はうなぎ登り。このままだと日本市場だけを相手にしていては利益が出ないのは明らかだ。逆に海外には東欧、ロシア、南米、アジアなど、未開拓の市場が山のようにあり、成長の見込みはまだまだある。
ゲームメーカーも企業であって利益を追求しなければならないから、より大きなリターンを追求するために大きな市場を求めるのは資本主義社会として当然なこと。そうすると海外で売れることを前提としたマーケティングの元でゲーム製作を行い始めるゲームメーカーがそろそろ出てきてもおかしくはない。
現に、カプコンは以前から世界市場を意識しているように見えるし、スクウェア・エニックスも(失敗はしているけど)海外を意識したRPGXBox360で展開している。この流れは止まらないだろう。
気がついたら「ドラクエ」や「モンハン」のように日本市場で十分元が取れるタイトルか、ごく小規模のタイトル、そして任天堂しか日本人の好みにあったゲームが発売されないなんてことになるかもしれない。中規模以下のタイトルが売れない日本市場に魅力がないと言われても反論はできない。
ちなみに、先の記事の締めである

ゲーム会社単体で挑むのではなく、テレビ局、アニメ業界、出版など横断的にタッグを組んでシェアを奪いに行く必要があります。

日本のゲーム産業は巻き返せるのか 世界シェア20%落ち込みの衝撃 : J-CASTニュース

は全くの見当違い。海外でアニメを観る層はまったく金を落とさない層だから。儲かるんだったらすでにバンダイビジュアルキングレコード角川書店ジェネオンなどがもっと大々的に海外進出してるよね。海外市場向けに作られるアニメが「アフロサムライ」くらいなんてことはないよね。