ドラゴンクエストIX 星空の守り人

ドラゴンクエストIX 星空の守り人

ドラゴンクエストIX 星空の守り人

 
プレイ時間300時間ほど。「ドラクエ」は移植作を含めてすべてプレイしている(MSX版・携帯電話版をのぞく)、まあ、いわゆる信者です。けど、この「IX」については厳しいことを書かなければならない。「ドラクエIX」について、厳しい意見を見たくない人はこの先を読まないことを強くおすすめします。

グラフィック:★★☆☆☆

もともとドラクエにグラフィックは求めてないのだが、求めてない故に厳しい評価にせざるを得ない。プレイヤーはカスタマイズが自由にできる都合上、3Dにしなければならないのは理解できるが、背景まで3Dにする必然性が理解できない。おかげで町中では常時処理落ちに近い状態になっていて、非常に操作しづらい。戦闘シーンの演出もドラクエにしてはやたら長くてかったるい。
反面、モンスターデザインはすばらしい。

サウンド:★★★★☆

サウンドのクオリティは相変わらず高い。フィールドなど、時々シーンとあっていない曲もあったけど、さすがはすぎやまこういちといったところ。
過去作の曲もさりげなく挿入されているのはなかなかニクい演出。

ゲームシステム:★★★☆☆

これは「VIII」の頃もそうだったのだけど、IXもこれといって基軸になる新システムがないのがツラい。宝の地図と魔王の地図でエンドレスに遊べる仕様が楽しいので、これをメインの新システムにして、宝の地図を攻略しながらゲームが進んでいくシステムにすればもっと楽しいゲームになっていただろうに。
何か仕掛けを作ろうとしたけどやっぱりやめた的なダンジョンがいくつも見受けられたのもマイナス。

シナリオ・演出:☆☆☆☆☆

このゲームの一番マズいところ。主人公は天使という設定で人間には見えない世界の出身。これはキャラメイクで仲間の人間を自由に作れるというシステムとは非常に食い合わせが悪い。おかげでイベントシーンでは仲間は「なかったこと」にされてしまう。自分でキャラメイクして、苦楽をともにしてきた仲間がいなかったことにされるのはとても切ない。
中盤の展開は困っている人がいる→近くにダンジョンがある→ボスを倒す→解決の繰り返しで飽きが来る上、終盤に登場する「帝国」の扱いは消化不良のひとこと。シナリオの練り込みが全くできていないと言われても文句は言えないクオリティの低さだ。サンディというキャラに至ってはノーコメント。

操作性:★☆☆☆☆

とにかく操作性が悪い。ボタンを押してからレスポンスがあるまでにワンテンポ遅れるし、会話ウィンドウに▼のページ送りがないのにボタンを押さないといけない部分があったり、逆に押さなくても勝手に選択肢が出てきたり、▼の表示があるのにボタンを押しても何も起こらなかったり、選択肢のデフォルト位置が「はい」だったり「いいえ」とまちまちだったりだったりと、例を挙げればきりのない不満点がある。
もっとも不満なのがコマンドウィンドウを表示しているときに時間が止まらないこと。画面が見えない状態から復帰してきたら目の前に敵がいて強制的に戦闘というのはストレスが非常にたまる。
細かいところにまで気配りのできているのがドラクエのもっともいいところなのに、それが死んでしまっている。

マルチプレイ:★☆☆☆☆

マルチプレイはプレイ時間4時間ほど。
マルチプレイなんてどんなゲームでも面白くて当たり前かと思っていたが、シングルよりマルチの方がつまらないゲームなんて初めて見た。
シンボルエンカウント方式のコマンドバトルとマルチプレイの食い合わせは最悪。しかもマルチプレイの仕様がシングルプレイにも引っ張られていると思われる仕様がいくつもあって本末転倒。アクションRPGの頃はこれでよかったかもしれないけど、コマンドバトルになったときにマルチプレイをやめてもよかったのでは。

総評:★★☆☆☆

すれ違い通信とか、宝の地図、魔王の地図、配信クエストと、クリア後も延々遊べるのはこれまでのドラクエにはなくてむしろ「ウィザードリィ」的で個人的には非常にすき。だからこそそこにたどり着くまでのゲームプレイに問題点が多すぎるのが残念。すでに書いたとおり、こっちをメインとすればもっと面白いゲームになったと思うのだが……
DSでドラクエというのはいつでも手軽にできるという点と、グラフィックにこだわらないドラクエというスタンスから個人的には正解だと思う。ただ、技術力不足なのか、DSの限界なのか、やりたいことと実際できたものにギャップがありすぎる。全体的に作り込みが足りない印象で、5年かけてこれでは……というのが正直なところ。コンセプトはいいんだけどね。
DSのRPGとしてはよくできているけど、2009年産のゲームとしては中の下レベル。