Steins;Gate

Steins;Gate (シュタインズ・ゲート) (通常版) - Xbox360

Steins;Gate (シュタインズ・ゲート) (通常版) - Xbox360

 
現代の秋葉原を舞台にしたタイムトラベル・SFアドベンチャーゲーム
ツッコミどころ満載ではあるけど、物語のクオリティは高い。よくわからない超技術を使うことなくうまくタイムトラベル理論について説明しているし、タイムパラドックスについての解釈も合理的。そこから巻き起こる事件も壮大で、感動的。主人公は中二病という主人公にしては珍しい設定だけど、その設定をうまく生かしている。伏線もきれいに消化していて、サスペンスとしての側面も強い。最初は取っつきにくいけど、気がつけば物語の世界にどっぷりとはまり込んでいる自分がそこにいる。声優陣の演技は実に熱がこもっており、物語世界に没入することをより手助けしてくれる。
とまあ、ここまでほぼべた褒めなわけだが、1つだけどうしても見過ごせない、それでいて大きすぎる欠点がこの「ゲーム」には存在する。それは、「ゲームとして成立していないこと」だ。このゲームを、最新鋭のゲーム機Xbox360で出す意味がまるで感じられない。
アドベンチャーゲームなので、物語にはいくつか分岐があって、いくつかのエンディングがあるのだが、分岐は携帯電話を取るか取らないか、メールの返信をどうするかのみで、お世辞にもゲームとして面白いとは言えない。プレイ時間の大部分はページ送りのためのAボタン押下に費やされ、物語は面白いのに眠くなるという不思議な現象にみまわれる。エンディングのうち、いくつかは明らかに必要でないものがあり、普通にプレイしてその選択肢は選ばないだろうというもの。ゲームとしてはの完成度は25年前のレベル。
物語としての側面とゲームとしての側面、これほど評価に差が出るのも珍しい。これが文庫で出てたら間違いなく大絶賛するだろうに、惜しい作品だ。