狼と香辛料(13)

 
2巻で登場した元羊飼いのノーラの後日談。服の仕立て職人になるために旅立ったノーラと、元牧羊犬のエネクの旅の途中と、とある街に着いてからの物語。ノーラが遭遇するちょっとした(というにはかなり大変だが)事件は、これまで行商人のロレンス視点では決して味わえなかったものなのでかなり新鮮。ロレンスの物語では常に賢狼ホロが傍らにいるので絶対の安心感というものがあるのだが、このノーラの物語ではホロはもちろん、周りに確実に信頼できる人間が誰もいないという緊迫感がある。これは本編ではもはや味わうことのできない緊迫感だ。
また、「狼と香辛料」という物語の特徴としてあげられるのが、羊飼いも、行商人も、放浪学生までも、みんな頭の回転が非常に速いというもの。しかし、まさか犬までもが頭の回転が速いとは、恐れ入った……